2013年12月1日日曜日

一橋中国法セミナー 独占禁止法

 ゼミ新歓や就職活動が同時に来て、3年生にとって厳しい季節がやってきました!両方とも大事なイベントですので頑張りましょうね!


司会を務める但見先生


 昨日第4回中国法セミナーが開催されました!今回のテーマは独占禁止法。独占禁止法というと、最近の日本の事件でこんなものを思い出しますね→「朝日新聞:JASRAC訴訟、公取委が上告へ」中国の独占禁止法はどうなっているか、そして今後どうなるのか、それについてのセミナーとなりました。

左:一橋大学博士課程の周さん(通訳)、右:上海交通大学の侯副教授、


 今回講演をしてくださったのは、上海交通大学の侯副教授です。2008年に制定されてから五年目を迎える中国の独占禁止法の基本的な内容、法執行機関について、そして今までの独占禁止法の法執行に対する評価を報告していただきました。

今回発表されたパワーポイントのまとめ


 まず、中国独占禁止法と日本独占禁止法の違いについて少しご紹介しますと、以下のようなものがあります。

適用除外規定
・日本:明確な適用除外規定(知的財産権に関する適用除外など)がある
・中国:厳密な適用除外規定がない

刑事罰
・日本:あり
・中国:なし

 また、中国には行政独占行為(行政が自分の地域の産業をより発展させるために、他の地域の産業に制約をかけるような行為)を禁止する規定があるのも特徴です。しかしながら行政を取り締まることは現実的には厳しいため、この規定は「牙のない虎にすぎない」とも揶揄されているそうです。

法執行機関のイメージ図

 次に法執行機関について。日本及び世界では、基本的に独占禁止の管轄行政機関は一つです(日本であれば公正取引委員会)。しかしながら、中国では3つの機関(工商総局、発展改革委員会、商務部)が、それぞれ担当を分けて管轄しています。そしてこの3つの機関の上に、互いの機関の連携を図る国務院独占禁止委員会があります。ちなみに法執行機関を決定するのには時間がかかり、独占禁止法制定のあとに管轄機関が決まったそうです。

今回は参加者が前回よりも多かったです


 評価についてですが、中国の独占禁止法自体が非常に原則的なものであったために、管轄機関がガイドラインを定めるまでほとんど処分された事件がありませんでした。しかしながら、ガイドラインがある程度定まった2年目以降は急激増えており、現在では大分機能しているそうです。

 懸念と考えられるのは、機関の人員不足と法執行の透明性です。この二つを解決することが、今後の中国独占禁止法の課題と締めくくりました。

日本で独占禁止法といえばこの御方、(左側)矢吹弁護士。

 コメントは独占禁止法関連の仕事を多く受け持つ独禁法のプロフェッショナル、矢吹先生が行いました。矢吹先生の豊富な知識に、侯先生は「私より詳しいのでは」とたじろいでいました。

 二方とも、中国の独占禁止法に関しては積極的に評価していました。というのも、他国での独占禁止法制定から機能するまでは基本的に何十年単位の時間がかかっているにも関わらず、中国は数年でここまで機能させることができたからです。現在はまだ、「国内の企業を保護するためだけにしか機能していないのでは」と思われている中国の独占禁止法ですが、今後の動きに注目です。

参加者の皆さん、ロースクール生が多くて圧倒されました…


 以上レポートでした。次回は知的財産についてだそうですよ!2月頃、一橋大学の佐野書院で行われるそうなので皆様も是非ご参加ください!それではまた!諸事情により中止になりました…申し訳ございません。

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